ファーストビュー
ファーストビュー

Brazil

王国ブラジル

pucca drooweを通して、ブラジリアンフットボールの持つ魅力を。

人物

写真家

伊藤 大輔

ITO DAISUKE

1976年、宮城県仙台市生まれ。明治大学卒業後、スペイン、バルセロナのIDEPにて2年間写真を学ぶ。
その後中南米に渡り、ブラジル、リオデジャネイロのファベーラ(スラム街)にて活動を開始し写真家となる。


その後2016年帰国。
2017年に「ROMÂNTICO」(ホマンチコ)を出版。
現在は東京、リオ・デ・ジャネイロを拠点に広告・エディトリアル・作品などジャンルを問わず精力的に活動中。

ファベーラ

【ファベーラ】

ファベーラとは、ブラジルにおけるスラムや貧民街のことであり、ブラジルのほぼ全ての都市郊外に存在しています。近年観光スポットとして現地ツアーが組まれていますが、本来治安の悪い地域として知られています。ファベーラの人々は、都心などで低賃金の仕事に就くことが多く、失業やドラッグ、ギャング同士の抗争等が社会問題となっています。しかし、そんな環境の中からも、ロナウド、アドリアーノ、ジェズスといった有名選手を輩出しています。

今回、ファベーラで生活し活動されていた、伊藤大輔氏とのコラボレーションをさせていただくことになりました。伊藤氏の代表作である写真集「ROMANTICO」の中にあるボールを持つ少年の写真があります。この少年が、満足げにボールを持つその表情からはフットボールへの喜びや楽しさが伝わってきます。そして荒廃したファベーラの背景とのコントラストから、ファベーラでのフットボールが凝縮されているように強く感じられます。

今日も、多くの少年達がブラジリアンドリームを掴もうと全力でボールを追いかけていることでしょう・・・

王国ブラジル 王国ブラジル

【王国ブラジル】

フットボール王国ブラジル。
フットボールが文化として根付いているこの国では、一年中ピッチで、ストリートで、ビーチで、老若男女、場所問わずフットボールを楽しむ人々で溢れています。ブラジルのフットボール人口は約1320万人(総人口2億946万人、人口比率約6%)、日本は約480万人(総人口1億2596万人、人口比率約3.8%)です。この数字は、サッカー協会に競技者として登録している人数であり、登録せずに楽しんでいる人はもっといると考えられることから、ブラジルのフットボールの裾野の広さが感じらます。ブラジル人は陽気な人柄や、人生を楽しむという国民性がフットボールにも反映されており、フットボールが持つ魅力の一つであるボーダーレスな部分(いつでも、どこでも、誰とでも)が体現されている国の一つであると言えます。

ブラジル人のプレーの特徴である「ジンガ」。日本でもドリブルテクニックの名称として有名なこの言葉ですが、ポルトガル語で「千鳥足」「よちよち歩き」が語源となっています。また、ブラジルがポルトガルの植民地だったころ、黒人奴隷によって考案された格闘技「カポエイラ」のステップが「ジンガ」と呼ばれています。これらから派生してブラジルのフットボールでは、全身を使って相手を騙すようなボディフェイクのことが「ジンガ」と呼ばれています。しかし、実際のところはもっと奥深いもの思想やソウルに近しい意味を持っています。ネイマール、ロナウジーニョ、デニウソン、ロビーニョ等、ブラジル人のストリートで培われた自由な発想と「ジンガ」を感じさせるプレーは唯一無二のものであり、人々を熱狂させてきました。

又、ブラジルフットボールの特徴として、サイドバックにもジンガを感じさせるテクニカルな選手が多いのが上げられます。(中には94年W杯のレオナルドのように攻撃的な選手がサイドバックを務めることもあります。)近年だと、マルセロを筆頭に、ダニ・アウベス、マイコン、カフー、ベレッチ、ゼ・マリア等、中でもマルセロのプレーのリズム感はジンガを存分に感じさせ、ドリブルやパス、トラップもアイデア溢れるプレーで世界を魅了しています。更にマルセロのアフロヘア、喜怒哀楽な表情が、いかにもブラジル人らしさを感じさせます。

そんなブラジルのフットボールですが、昨今フットボールのビジネス化に伴ったスクール事業の拡大や、都市開発による人工芝コートの増加とそれに伴うストリートフットボール場の減少で、元々ストリートを起源とした自由でクリエイティブなプレーヤーの減少を危惧する声が上がっています。

輸出大国ブラジル 輸出大国ブラジル

【輸出大国ブラジル】

近年のグローバル化の進行により、南米諸国から経済力のある欧州のクラブへ移籍する若い選手が増加しています。その中でも、ブラジルの移籍数は圧倒的に多く、同語圏のポルトガルを筆頭に欧州各国始め世界中へ選手を輩出しています。この為、若い有望な人材の流出による国内クラブの弱体化が懸念されています。欧州クラブへの移籍は、10代前半の選手にまで及び、ブラジルのフットボールの根源である、個人技を駆使して相手を抜き去ったり、一瞬のひらめきでのプレー等、ブラジル人特有の技術を身につける前に移籍してしまうことになります。そして、所謂欧州仕様へのプレーヤー化、更には移籍した国に帰化してしまうケースが増えています。このような有望プレーヤーの喪失がブラジル国内で懸念されています。

ブラジルは、1900年代後半~2000年代前半ぐらいまで、多くの名選手を生み出してきました。1950年~60年代のペレ、ガリンシャ。1970年代~80年代の黄金のカルテット(ジーコ、トニーニョセレーゾ、ファルカン、ソクラテス)。1990年代~2000年代のロマーリオ、3R(リバウド、ロナウド、ロナウジーニョ)等、同時期に世界的なスタープレーヤーが何人もいましたが、2010年頃を境に次のスタープレーヤーはネイマールまで待たなければなりませんでした。

時代の移り変わりにより物事は変化していきますが、そんな時代の流れに乗ったり、抗ったりする中で、ストリートでの野生感やジンガを感じさせる選手が現れるのを楽しみに今日もフットボールのある生活を楽しみたいと思います。

Life with football……

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